あの時代

小沢征爾とボストン

初めての海外旅行が1999年のボストンだった。
コンコードっていう町に行くのが目的。好きな作家のお墓があったからお墓参りに。

当時、アメリカの東海岸は「まだ東洋人には冷たい」と聞いていて覚悟して行ったんだけど、ホテルのフロントはビザカードを見せればスマイリー。ドラッグストアの店員も東洋人とスパニッシュ系の人だったので、こちらもスマイリー。

いやなやつは数えるほどで済んだ。
運がよかっただけかな。

野茂英雄が西海岸のドジャースで投げ始めたのが95年から。
なので1999年、東海岸で最も有名な日本人は確か小沢征爾くらいだったと思う。

この数年後、秋葉原のヨドバシカメラのオーディオフロアで小沢のDVDが流されていた。
オーディオフロアってことで、フロアが売りたいものはオーディオ。

 

まずオーディオセットが置かれ、そのそばに一人用の背もたれ付きの立派な椅子が置かれ、
どうぞ、じっくり「音」を聴いてみてください、という試み。

それでは、と椅子に座って小沢のDVDを見始めるんだけど…

…あの動き!!

素人は笑わずにはいられない。つっこみどころ満載

音は素晴らしい。小沢も素晴らしい。だけど笑いを引っ込めるのは難しい…。

 

ようやく笑いが引っ込んだ頃、椅子の後ろにガヤガヤ人の気配。

ブラスバンド部の学生さんたちが、まじめに「聴き」に入っていた。

なんでも、このDVDは小沢が最高に油が乗っていた時期のもので、
吹奏楽をやっている者にとっては、流れていれば思わず立ち止まって拝聴したくなるほどの傑作なんだそう。
背後でそんな話をされてしまっては、もう笑えない。

[内心]
ごめんなさい。お姉さん(私)が間違っておりました。
大変失礼致しました。

小沢も好き。個性的な指揮者。シンディーローパーに通じるものを持っている。
「解放されきっちゃった人」の指揮者バージョン。

さすがマエストロ。このおちゃめな表情も生演奏中の一瞬。